全国がん(成人病)センター協議会(全がん協)は、このほど、部位別の10年相対生存率を初集計し、ホームページ上(http://www.gunma-cc.jp/sarukihan/seizonritu/seizonritu2007.html)で公開した。これまで全がん協は、施設別を含めて5年相対生存率を公表してきたが、がん患者の10年に渡る経過が、全国規模でがんの部位別に示されたのは初めてのことだ。
10年相対生存率は、加盟32施設のうち患者の予後の追跡率が90%以上の16施設で、1999年から2002年に診断治療を行った3万5287症例の集計をもとに算出。胃がんや大腸がん、肺がんなどは、5年を過ぎると生存率がほぼ横ばいであるのに対し、乳がんと肝がんは5年以降も下降線をたどることが明らかになった(図1)。
具体的には、乳がんの5年相対生存率は88.7%で、10年相対生存率は80.4%と約8ポイント下がり、肝がんは5年が32.2%、10年が15.3%と半減していた。この2つのがんは、5年以降も再発が多く、長期に渡る経過観察が必要と言われていたが、データで裏付けられた。
なお、相対生存率とは、がん以外の死因で亡くなった人を含めた実測生存率を、対象者と同じ性・年齢・分布を持つ日本人の期待生存確率で割った数値。純粋にがん患者の予後をみるために、がん以外の死因で死亡した影響を排除し調整した生存率だ。