株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

がん10年相対生存率をどう読むか─経過観察期間の指針に 【まとめてみました】

No.4803 (2016年05月14日発行) P.14

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-01-24

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • next
  • 乳・肝がんは5年以降も下降

    全国がん(成人病)センター協議会(全がん協)は、このほど、部位別の10年相対生存率を初集計し、ホームページ上(http://www.gunma-cc.jp/sarukihan/seizonritu/seizonritu2007.html)で公開した。これまで全がん協は、施設別を含めて5年相対生存率を公表してきたが、がん患者の10年に渡る経過が、全国規模でがんの部位別に示されたのは初めてのことだ。
    10年相対生存率は、加盟32施設のうち患者の予後の追跡率が90%以上の16施設で、1999年から2002年に診断治療を行った3万5287症例の集計をもとに算出。胃がんや大腸がん、肺がんなどは、5年を過ぎると生存率がほぼ横ばいであるのに対し、乳がんと肝がんは5年以降も下降線をたどることが明らかになった(図1)。
    具体的には、乳がんの5年相対生存率は88.7%で、10年相対生存率は80.4%と約8ポイント下がり、肝がんは5年が32.2%、10年が15.3%と半減していた。この2つのがんは、5年以降も再発が多く、長期に渡る経過観察が必要と言われていたが、データで裏付けられた。
    なお、相対生存率とは、がん以外の死因で亡くなった人を含めた実測生存率を、対象者と同じ性・年齢・分布を持つ日本人の期待生存確率で割った数値。純粋にがん患者の予後をみるために、がん以外の死因で死亡した影響を排除し調整した生存率だ。

  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    関連物件情報

    もっと見る

    page top