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がん10年相対生存率をどう読むか─経過観察期間の指針に 【まとめてみました】

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  • 患者に予後説明する際の参考に

    ─10年相対生存率を集計した理由は?

    全がん協加盟施設の中には、毎年予後調査を行い、先駆的に10年相対生存率を算定していた施設があり、患者さんにデータを示すためには、次は全国的なデータが必要だと考えた。胃がんや大腸がん、肺がんなどは診断治療から5年経過すると治癒と考えられることが多いが、10年生存率のデータでそれが裏付けられた。一方で、乳がん、肝がんは10年以上経過観察が必要であることがデータで示された。特に乳がんは直線的に生存率が下がっており、15年生存率などさらに長期のデータが必要かもしれない。

    ─活用法は?

    患者さんに経過観察の必要性や予後を伝えるときの参考にしていただきたい。千葉県がんセンター研究所の三上春夫氏らが生存率解析ソフト「KapWeb」を開発し、がんサバイバー生存率などを含め全がん協生存率調査の結果が生存曲線で分かりやすく示せるようになった。全がん協のホームページから誰でもアクセスできるので、患者さんへの説明用に活用してほしい。
    ただ、今回公表した10年相対生存率は、1999~2002年と14~17年前の過去データであり、いま治療を受けている人は、治療法の進歩によりもっと生存率が高い可能性がある。データの限界を含めて患者さんに説明していただきたい。

    ─施設別10年生存率公表の予定は?

    診断治療から10年以上たった患者さんの予後調査は大変で、今回は32施設中16施設のデータのみ集計できたのが実情だ。まずは、追跡率90%以上の施設を増やし、全施設の10年生存率の精度を上げる必要がある。施設別のデータの公表は各施設の治療戦略の見直しのために重要で、将来的には、10年生存率の施設別データの公表も検討すべきだろう。

    ─今後の課題は?

    個人情報保護の関係で予後の照会に応じてくれない市町村もある。がん診療連携拠点病院が国立がん研究センターに依頼して実費を払えば予後を確認してもらえる仕組みがあるが、精度の高いデータを得るためにも、今後もその仕組みを継続していく必要がある。
    がん登録推進法が施行されて2016年1月以降に診断治療を受けた患者のデータは国が全数把握することになっているが、その5年生存率が出るのは2022年以降で、10年生存率は27年以降になる。それ以前に治療を受けた患者さんの予後もきちんと確認し、そのデータを公表して診療に活用できるようにしていくことが重要だ。

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