IgG4関連疾患はIgG4陽性形質細胞が罹患組織に浸潤し,線維化および硬化病変を呈する疾患である。
両側の耳下腺,顎下腺が腫大する疾患として古くからミクリッツ症候群が知られていたが,その病理学的相同性よりシェーグレン症候群の一亜型として認識されていた。しかし2002年,山本らにより,ミクリッツ症候群はIgG4陽性形質細胞の浸潤により生じるシェーグレン症候群とは異なる疾患であることが示され,同様な炎症所見を呈していた自己免疫性膵炎と合わせ,IgG4関連疾患として広く知られることとなった。
現在,IgG4関連疾患は唾液腺,膵臓以外に涙腺,肺,腎臓,胆管,後腹膜など全身の様々な組織に硬化性病変を示すことが報告されている。診断基準では,(1)臨床的に特徴的な硬化性病変,(2)高IgG4血症(135mg/dL以上),(3)病理組織学的所見,の3項目を挙げ,すべてを満たすものを確定診断群,(1),(3)を満たすものを準確診群,(1),(2)のみを満たすものを疑診群としている(文献1)。
新しい疾患概念のため,原因不明の多くの硬化性病変の診断時に血清IgG4が測定されているが,血清IgG4高値を示す疾患はリンパ腫,悪性腫瘍,炎症性疾患などIgG4関連疾患以外にも存在するため,注意が必要である。特にリンパ腫は臨床症状が類似する場合も多く,可能な限り組織診断を加えることが推奨される。
1) Umehara H, et al:Mod Rheumatol. 2012;22(1): 21-30.