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硝子体手術

No.4728 (2014年12月06日発行) P.62

宮崎勝徳 (九州大学眼科)

登録日: 2014-12-06

最終更新日: 2016-10-26

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眼科領域において内部から網膜や硝子体にアプローチする硝子体手術は,1971年にMachemerらによって確立され(文献1),以後,進化の一途をたどり,網膜硝子体疾患の治療の一角として多大な貢献を成し遂げてきた。その要因として,疾患の病態理解の進歩もさることながら,手術システムの進化はより加速度的に進んできた感がある。小切開硝子体手術(micro-incision vitrectomy surgery:MIVS)システムへの移行と,それに伴う照明・観察系機器の発達によって,より安全な手術が標準的に行われるようになってきた。
眼内に器具を挿入する創は当初20ゲージ(幅0.90mm)で作製され,結膜切開を必要とし,創の縫合も必須であった。2002年にJuanらが25ゲージ(幅0.57mm)でのシステムを発表し(文献2),近年では23,25ゲージが完全に主流となった。MIVSの利点は,小切開による術後炎症の軽減,無縫合,眼内灌流液量の減少,手術時間の短縮など,より低侵襲な手術を可能としたことである。
また,広角観察システムでは眼内を広く周辺まで観察することができるようになり,手術の安全性が高められただけでなく,手術器具で眼球を動かして周辺部の観察を行う必要がなくなり,MIVSの細い器具でもその剛性が問題とはならない。このようにMIVSが急速に普及してきた背景には,広角観察システムなどの周辺機器の進歩が欠かせなかったのである。

【文献】


1) Machemer R, et al:Trans Am Acad Ophthalmol Otolaryngol. 1971;75(4):813-20.
2) Fujii GY, et al:Ophthalmology. 2002;109(10): 1807-12.

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