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脊椎脊髄手術の経皮的手術手技による低侵襲手術化

No.4730 (2014年12月20日発行) P.50

山口 智 (広島大学脳神経外科診療講師)

栗栖 薫 (広島大学脳神経外科教授)

登録日: 2014-12-20

最終更新日: 2021-01-06

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脊椎脊髄疾患の外科治療にはダイナミックなものから繊細な手術まで,非常に幅広い分野が含まれている。しかし,いずれの手術でも皮膚を切開し,筋組織を棘突起,椎弓から剥離して,脊椎・脊柱管へアプローチするステップは共通である。そして,最初のアプローチで起こる筋組織挫滅,その後の筋萎縮による術後の背部痛,背中の張りなど,大きな苦痛を生み出す原因となっている。
この脊柱周囲の軟部組織をいかに愛護的に扱い,極力温存させ,術後の創部に関連した痛み,違和感をいかに抑えるかが手術のできの差を生み出す1つの要因となる。この問題に対し,2000年頃から様々な経皮的手術手技が開発・実施され,手術に伴う皮膚切開,筋組織の展開を必要最小限に抑えることが可能となってきた。具体的には,(1)経皮的スクリュー固定システム,(2)内視鏡的手術,(3)円筒型開創器,などが挙げられ,症例によっては,上記を組み合わせることで,さらなる低侵襲化,手術精度の向上にもつながっている。
たとえば,経皮的スクリュー固定システムでは,筋層を大きく展開せずにX線イメージガイド下に目標とする椎弓根を経皮的に穿刺し,ガイドワイヤー(鋼線)を通して同軸のスクリューを椎弓根へ刺入するというものである。従来は2椎体固定でも10cm以上の皮膚切開が必要であったスクリュー刺入手技が,左右1.5cm程度の穿刺創4箇所ですむことになり,術後の創部痛が著しく軽減する。また,腰椎椎間板ヘルニアに対する内視鏡的脱出髄核摘出術では,日帰りまたは1泊入院での手術治療が可能となり,患者側の負担軽減のみならず,入院期間の短縮にも寄与できる。

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