尿路結石症に対する外科的治療は,1980年代に相次いで登場した内視鏡手術〔経尿道的結石破砕術(TUL),経皮的結石破砕術(PNL)〕および体外衝撃波結石破砕術(ESWL)によって劇的に変貌し,開放手術はほとんど行われなくなったことはよく知られている。とりわけ,ESWLは低侵襲性や手技の簡便性から,わが国では人口当たりでみると米国の2倍近い装置が導入され,結石治療の90%を占めるようになった(文献1)。しかしながら,導入から30年あまりの経験から,大きな結石(2cm以上)や下腎杯結石,肥満患者など,ESWLが不適切な症例が明らかになるとともに,残石による再発の増加といった弊害も危惧されるようになってきた。
一方,近年の尿管鏡の細径化やレーザー砕石装置の普及によりTULの治療成績は向上し,尿管結石においてはESWLを凌駕する完全排石率が得られるようになり(文献2),合併症も減少している。さらに,従来は困難であった腎結石についても,軟性尿管鏡の改良によってflexible TUL(f-TUL)として適応が拡大されるようになった。2cm以上の大きな腎結石やサンゴ状結石に適応されるPNLにおいても,細径腎盂鏡による低侵襲化やPNLとf-TULを同時に行う術式の開発などの進歩がみられている。また,少数ではあるが,ESWLや内視鏡手術でも治療の困難な症例に行われていた開放手術は,腹腔鏡手術に代わりつつある。
1) 日本泌尿器科学会・日本泌尿器内視鏡学会・日本尿路結石症学会, 編:尿路結石症診療ガイドライン. 第2版. 金原出版, 2013.
2) Turk C, et al:Guidelines on Urolithiasis. European Association of Urology, 2014.