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皮膚筋炎に伴う急速進行性間質性肺炎と抗CADM-140/MDA5抗体

No.4735 (2015年01月24日発行) P.49

永井立夫 (北里大学膠原病・感染症内科講師)

登録日: 2015-01-24

最終更新日: 2016-10-26

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皮膚筋炎(DM)は,ヘリオトロープ疹やゴットロン徴候などの特徴的な皮疹を伴う炎症性筋疾患である。DMの症状は多彩であり,筋炎のない無筋炎型皮膚筋炎(amyopathic DM:ADM)や,検査上の軽微な筋炎所見があるが6カ月以上筋力低下症状のないhypomyopathic DM(HDM)が存在し,これらを総称してclinically amyopathic DM(CAD
M)と呼んでいる。
DMは致死的な急速進行性間質性肺炎を高頻度に伴うことが知られているが,筋炎特異的な抗Jo-1抗体陰性例が多い。2005年,Satoらは細胞質内の分子量約140kDaの蛋白を認識する自己抗体がCADM症例に特異的にみられることを報告した(文献1)。その後,対応抗原がmelanoma differentiation-associated gene 5(MDA5)であることが判明した(文献2)。MDA5はピコルナウイルス科のウイルス感染制御において重要な役割を果たしている。
さらに,DMに合併する急速進行性間質性肺炎では,治療反応群は治療無効群に比べ,治療前の抗CADM-140/MDA5抗体の力価が有意に低いことが明らかとなった(文献3)。したがって,本抗体は,間質性肺炎合併DM患者の中で,早期に強力な治療をするべき症例を見出すためのきわめて重要な指標と考えられ,今後の保険適用が待たれる。

【文献】


1) Sato S, et al:Arthritis Rheum. 2005;52(5):1571-6.
2) Sato S, et al:Arthritis Rheum. 2009;60(7):2193-200.
3) Sato S, et al:Mod Rheumatol. 2013;23(3):496-502.

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