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小児神経疾患領域の進歩

No.4739 (2015年02月21日発行) P.57

白石秀明 (北海道大学小児科)

有賀 正 (海道大学小児科教授)

登録日: 2015-02-21

最終更新日: 2016-10-26

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小児神経疾患は,てんかんをはじめとする痙攣性疾患,筋疾患,発達障害とそれに随伴する遺伝・代謝性疾患に大別される。
痙攣性疾患の進歩では,小児特有のてんかん症候群の発見,画像診断技術の進歩による神経疾患の病態解明が挙げられる。Panayiotopoulosは,2001年に,後頭部に棘波を持つ良性小児てんかんの中に,光の点滅などの要素性視覚発作ではなく,嘔吐,頭痛などの自律神経症状が主で,意識減損発作が遷延するタイプの症候群が存在することを報告した(文献1)。この症候群は発症当初,重積発作をきたす傾向があり非常に重篤感があるが,彼が著した知見は一般臨床の場に役立っている。
また,ウイルス性脳炎に関する概念が整理され,治療に向かうエビデンスが確立されてきた。MRI撮像において1.5テスラ以上の高磁場MRIが汎用化され,近年は3テスラMRIも臨床の場に供用され,大きな貢献をしている。また,拡散強調画像をはじめとするMRI撮像法の進歩も診断技術の向上に寄与している。この中で,脳梁膨大部に信号異常を持つウイルス脳症の概念(文献2),2相性脳症にみられるbright tree appearanceなど,特徴的な拡散強調画像所見などが臨床現場において実際に使用されている。また,特にインフルエンザ脳症に対してステロイド療法,免疫グロブリン療法,低体温療法による治療法が確立された(文献3)。

【文献】


1) Panayiotopoulos CP:Lancet. 2001;358 (9275): 68-9.
2) Tada H, et al:Neurology. 2004;63(10):1854-8.
3) 厚生労働省インフルエンザ脳症研究班:インフルエンザ脳症ガイドライン(改訂版). 2009.
[http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influ enza/hourei/2009/09/dl/info0925-01.pdf]

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