株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

ロボット支援下腎部分切除術

No.4741 (2015年03月07日発行) P.50

原 勲 (和歌山県立医科大学泌尿器科教授)

登録日: 2015-03-07

最終更新日: 2016-10-26

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

腎細胞癌は従来,放射線療法や抗癌化学療法が無効であるため,手術療法が標準的な治療法であり,根治的な腎摘除術が広く施行されてきた。近年多く発見される小径の腎細胞癌に対しては,腎機能温存の観点から腎部分切除術が推奨されるようになってきている。腎部分切除術が根治的腎摘除術と同等の根治性を有しており,かつ腎機能の面において良好である成績が既に多数発表されている(文献1)。
さらに,腹腔鏡下における腎部分切除術が開発されてきた。しかしながら腎部分切除術においては,動脈を一時的に遮断した上で腫瘍を切除し,術後の出血および尿漏防止のために切除断端の縫合閉鎖を確実に行う必要がある。2次元画像で鉗子の動きに関して制限のある腹腔鏡下手術では,腫瘍の確実な切除と断端の縫合閉鎖に関する高度な技能が要求される。その上,阻血時間が長くなると術後腎機能に悪影響が出るため,可及的短時間でこれらの操作を終了させる必要がある。
da Vinciシステムによるロボット支援腹腔鏡下手術は現在,わが国では前立腺全摘除術のみが保険で認められた術式であるが,上述したような腹腔鏡での技術的なハードルを克服すべく,米国ではロボット支援下での腎部分切除術が広く行われている(文献2)。わが国では現在,ロボット支援下腎部分切除術は自費診療のみであるが,保険収載をめざした臨床試験が予定されており,今後の普及が期待される。

【文献】


1) Joniau S, et al:Nat Clin Pract Urol. 2006;3(4): 198-205.
2) Ficarra V, et al:BJU Int. 2014;113(6):936-41.

関連記事・論文

関連書籍

関連求人情報

公立小浜温泉病院

勤務形態: 常勤
募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・消化器外科 各1名
勤務地: 長崎県雲仙市

公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

当病院は島原半島の二次救急医療中核病院として地域医療を支える充実した病院を目指し、BCR等手術室の整備を行いました。医療から介護までの医療設備等環境は整いました。
2022年4月1日より脳神経外科及び一般外科医の先生に常勤医師として勤務していただくことになりました。消化器内科医、呼吸器内科医、循環器内科医及び外科部門で消化器外科医、整形外科医の先生に常勤医師として勤務していただき地域に信頼される病院を目指し歩んでいただける先生をお待ちしております。
又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。透析数25床の能力を有しています。15床から開始いたしましたが、近隣から増床の要望がありお応えしたいと考えますが、そのためには腎臓内科(泌尿器科)医の先生の勤務が必要不可欠です。お待ちいたしております。

●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問看護、訪問介護、訪問診療体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top