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ロボット支援膀胱全摘除術

No.4750 (2015年05月09日発行) P.49

大山 力 (弘前大学泌尿器科教授)

登録日: 2015-05-09

最終更新日: 2016-10-26

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2012年にロボット支援前立腺摘除術が保険収載されて以来,わが国のロボット支援手術の件数は飛躍的に増加している。同時に手術支援ロボットの導入も急速に進み,2014年末には188台に達し,米国に次ぐ世界第2位の保有国になっている。
泌尿器科領域のロボット支援手術の中で,前立腺全摘除術,腎部分切除術についで多く実施されているのがロボット支援膀胱全摘除術(RARC)である。膀胱全摘除術は高リスク筋層非浸潤性膀胱癌や筋層浸潤性膀胱癌の標準的治療法であるが,従来の開放手術は高度の侵襲を伴うため,RARCへの期待が高まっている。
当科では,筋層浸潤性膀胱癌に対し2012年3月からRARCを18例実施した。男性17例,女性1例で平均年齢は63.8歳。尿路変向はU字回腸新膀胱(文献1)16例,尿管皮膚瘻2例で,うち,U字回腸新膀胱の10例では体腔内操作で作成した。総手術時間は平均443分(246~589分),膀胱遊離までのcon-sole timeは平均117分(70~170分),総出血量は平均396mL(50~1550mL)であった。手術時間はやや長いものの,出血量は従来の1/3になった。術後の合併症としては一過性イレウス2例,リンパ瘻1例を経験した。
体腔内回腸新膀胱造設術は簡便なU字型の新膀胱を用いれば,さらなる普及が期待される。RARCは筋層浸潤性膀胱癌の新たな標準的治療法になると期待される。

【文献】


1) Koie T, et al:Urology. 2010;75(6):1499-503.

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