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前立腺癌の高精度放射線治療

No.4753 (2015年05月30日発行) P.55

二瓶圭二 (都立駒込病院放射線診療科治療部医長)

登録日: 2015-05-30

最終更新日: 2016-10-26

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限局性前立腺癌に対する根治的治療として,以前より外部放射線治療が実施されてきた。総線量70~80Gyの間で強い線量効果関係があることが示されていたが,前立腺には膀胱と直腸が隣接するため,従来の単純な放射線治療では前立腺への十分な線量投与が困難であった。
放射線治療はこの数十年で,従来型の単純照射から三次元原体照射へ,さらに強度変調放射線治療(IMRT)へと発展し,線量集中性の良好な治療が可能になった。近年,画像誘導放射線照射(IGRT)技術が発達し,照射ごとのCT撮像による位置精度の高い治療が可能となった。IMRTとIGRTの導入により,膀胱や直腸への線量を低減しつつ前立腺への十分な線量投与が可能となり,現在,総線量75~80Gy程度の高線量放射線治療が標準的治療とされている(文献1)。IMRTの有効性は前立腺全摘術と同等であり,特に高齢者では良い治療選択肢のひとつと認識されている。有害事象のひとつである直腸出血については,IMRTにより5~10%程度に軽減できるとの報告がいくつかある(文献2,3)。
通常分割による放射線治療では治療期間が2カ月近くにわたるため,最近では1回線量を増加して治療回数を減らす(治療期間を短縮する)寡分割照射法や定位放射線治療なども,主に臨床試験を中心として治療開発が行われている(文献4)。

【文献】


1) Viani GA, et al:Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2009;74(5):1405-18.
2) Michalski JM, et al:Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2013;87(5):932-8.
3) Zelefsky MJ, et al:Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2008;70(4):1124-9.
4) Miles EF, et al:Semin Radiat Oncol. 2008;18(1):41-7.

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