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がん疼痛に対する放射線治療

No.4753 (2015年05月30日発行) P.56

岡田 恵 (京都府立医科大学 疼痛・緩和医療学)

細川豊史 (京都府立医科大学 疼痛・緩和医療学教授)

登録日: 2015-05-30

最終更新日: 2016-10-26

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放射線治療(interventional radiology:IVR)は,治癒を目的とする「根治的」,術後などに行われる「予防的」,症状改善のための「緩和的」治療などの目的を有する。
緩和的IVRが行われるがん疼痛は,骨転移や手術適応とならない病的骨折・不全骨折による骨痛,脳転移や原発性脳腫瘍による頭痛,神経や軟部組織などへの腫瘍の浸潤に伴う痛み,肝腫や脾腫などによる腹痛など,多岐にわたる。代表的なものに有痛性の骨転移に対する照射があり,60~90%の症例で痛みの緩和が得られ,30%程度の患者でオピオイドが不要になるとされている(文献1)。また,脳転移による頭痛・悪心・嘔吐,種々の神経症状の緩和にも施行されている。原発巣,転移巣を問わず施行できる意味は大きい。
IVRは,放射線もしくはそれによって発生するフリーラジカルなどにより細胞内の核(染色体)に変化を引き起こし,細胞分裂を障害することで細胞増殖の遅延や細胞死を引き起こす作用を利用している。種類としては,(1)リニアック,γナイフ,サイバーナイフといった外照射,(2)密封小線源や放射性同位元素を含有した金属製の針や粒などを治療したい部位に留置あるいは刺入し,局所的なIVRを行う密封小線源治療,(3)放射性同位元素を含んだ内用薬や注射薬を投与し,体内に入った放射性同位元素が病巣に集積した後,IVRを行う非密封小線源治療,などがある。苦痛緩和におけるIVRの存在は非常に重要である。

【文献】


1) 日本緩和医療学会緩和医療ガイドライン委員会, 編:がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2014年版. 金原出版, 2014.

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