筋層非浸潤性膀胱癌は未治療膀胱癌の約70%を占め,初期治療として経尿道的膀胱腫瘍切除術(transurethral resection of the bladder tumor:TURBT)が施行される。画像診断が進歩した現在においても,臨床病期T診断の適切な方法はTUR
BTによる筋層浸潤の診断であり,理想のTURBTにはすべての可視病変の完全切除と,正確な筋層浸潤の有無の診断が必須である。
しかし,TURBTは切除ループにより腫瘍を小さな切片にして採取するために,正確な筋層浸潤診断が困難である。また,術中播種の危険性,さらには膀胱穿孔,出血などの合併症の問題を有している。これらの克服のために,ガイドラインで2nd TURや抗癌剤即時単回膀胱注入が推奨され,生理食塩水で使用可能なバイポーラTURシステムの導入,普及が行われてきた。
経尿道的膀胱腫瘍一塊切除術(transurethral resection of the bladder tumor in one piece:TUR
BO)(文献1)は,腫瘍を細切せずに一塊として筋層の一部を含め切除する方法である。従来のTURBTと異なり,質の高い切除標本を得ることができ,穿孔や出血なども少ないとされる。欠点として,(1)大きな腫瘍では一塊として経尿道的に取り出すことが困難なこと,(2)膀胱頸部や頂部など部位によって手技が困難なこと,(3)非再発率向上に寄与するか不明であること,が挙げられる。
今後,これらが解決されれば,筋層非浸潤性膀胱癌の診断と,治療成績の向上に寄与すると期待される。
1) Ukai R, et al:J Urol. 2000;163(3):878-9.