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分子疫学的手法を用いた細菌感染経路の解析  【POT法や自動細菌タイピング装置の使用で,効率的に感染経路を確定・遮断】

No.4791 (2016年02月20日発行) P.51

田内久道 (愛媛大学感染制御部准教授)

安川正貴 (愛媛大学血液・免疫・感染症内科学教授)

登録日: 2016-02-20

最終更新日: 2016-10-26

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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)をはじめとする,細菌による院内感染の感染経路の解析は,感染の拡大を遮断するための重要な手段である。MRSAにかかわらずアウトブレイクの疑いのある菌株が,同一のクローンか否かを解析することにより水平感染を確定することができれば,その感染経路を遮断するために医療スタッフに対して強く感染対策への協力を要請できる。
これまで,検出された菌株が同一か否かの検討は,各細菌の血清型,毒素産生の有無,薬剤感受性のパターンなどから推定することにより行われてきた。他方近年,菌株の同一性を確認する方法として分子疫学的な手法が導入されてきている。パルスフィールドゲル電気泳動法は以前より用いられてきた手法であるが,手技が煩雑なこともあり,普及しなかった。それに対して,マルチプレックスPCRを用いてクローン解析を行うPOT法や,rep-PCRを用いる自動細菌タイピング装置により,比較的容易に細菌の遺伝子解析が可能となった。これらの手法を用いることにより,同一の菌株の院内での広がりを確定することができ,感染経路を効率的に遮断できるとともに,医療スタッフへの感染対策の有効な教育手段にもなる(文献1)。
これらの検査には保険適用もなく導入コストも必要であるが,非常に有効な感染対策のツールであり,日常的に高レベルの感染対策が求められる大規模病院では,導入の検討をお勧めしたい。

【文献】


1) 野口恵子, 他:日環境感染会誌. 2015;30(4):257-61.

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