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SGA性低身長症に対する成長ホルモン治療 【成長ホルモン投与量は0.23mg/kg/週で開始し,0.47mg/kg/週まで増量可能】

No.4794 (2016年03月12日発行) P.49

吉村和子 (福岡大学小児科)

廣瀬伸一 (福岡大学小児科主任教授)

登録日: 2016-03-12

最終更新日: 2016-10-26

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SGA(small-for-gestational age)は,在胎週数の標準身長・体重に比し,小さく出生した児を指す。SGA児の多くは2歳までにキャッチアップするが,約10%のキャッチアップしなかった群はその後も低身長となることが知られている。
日本では2008年からSGA児に対する成長ホルモン(GH)治療が開始された。SGA性低身長症は,出生時の身長・体重ともに在胎週数相当の10パーセンタイル未満で,かつ出生身長または体重のどちらかが在胎週数相当の-2SD未満であるものが,さらに暦年齢2歳までに-2SD以上にキャッチアップしなかった児と定義された。また,GH治療は暦年齢3歳以上で開始され,開始時点の身長-2.5SD未満が基準である。GH投与量は0.23mg/kg/週で開始し,治療に対する反応が不良であれば,0.47mg/kg/週まで増量することが可能である。GH分泌不全性低身長症の治療量0.175mg/kg/週に比べると高用量である(文献1)。
SGA児はメタボリックシンドロームのリスクが高く,GHによる耐糖能異常が不安視されていた。しかし,Tanakaら(文献2)の治療10年後の日本のデータでは,HbA1cの上昇はあるものの正常範囲内での変動であった,と報告された。最終身長に達したものはGH治療開始前に比べ,Δ身長SDS(身長SDスコア改善度)は女児+1.8SD,男児+1.6SDの身長を獲得した。多くのSGA性低身長症児が治療を受けられるよう,啓発が重要である。

【文献】


1) 田中敏章, 他:日小児会誌. 2007;111(4):641-6.
2) Tanaka T, et al:Clin Pediatr Endocrinol. 2015;24(1):15-25.

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