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成人の難治性ネフローゼ症候群にもリツキシマブが適応  【成人における効果や安全性を示すデータは少なく,副作用に注意】

No.4802 (2016年05月07日発行) P.54

渡辺裕輔 (埼玉医科大学腎臓内科講師)

岡田浩一 (埼玉医科大学腎臓内科教授)

登録日: 2016-05-07

最終更新日: 2018-11-27

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難治性ネフローゼ症候群とは,ステロイドと免疫抑制薬を含む種々の治療を6カ月行っても,完全寛解または不完全寛解Ⅰ型(尿蛋白<1.0 g/日)に至らないもの,と定義される。浮腫や胸・腹水貯留をきたすとともに,脂質異常症,凝固線溶系異常による血栓症や免疫異常症による易感染性,さらには心血管病の合併率も高まる可能性が指摘されている(文献1)。
治療はステロイドが基本であるが,寛解導入・維持やステロイド減量を目的に免疫抑制薬が併用される。シクロスポリン,シクロホスファミド,ミゾリビンなどが用いられてきたが,寛解導入・維持が困難な症例が存在する。抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブは,主に小児のネフローゼ症候群に対する有効性が報告され(文献2),公知申請により2014年から成人を含む難治性ネフローゼ症候群(頻回再発型あるいはステロイド依存性を示す場合)に対して保険適用となった。しかし,成人における効果や安全性を示すデータは少なく(文献3),今後さらなる知見の蓄積が必要である。
また,進行性多巣性白質脳症やB型肝炎ウイルスキャリア再活性化による劇症肝炎,無顆粒球症など重大な副作用があり,十分注意が求められる。

【文献】


1) Ordonez JD, et al:Kidney Int. 1993;44(3):638-42.
2) Iijima K, et al:Lancet. 2014;384(9950):1273-81.
3) Sugiura H, et al:Nephron Clin Pract. 2011;117(2):c98-105.

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