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横隔膜挙上により心陰影が拡大した場合の心房細動発生リスクは?

No.4828 (2016年11月05日発行) P.59

武田悦寛 (東京大学医学部附属病院循環器内科)

赤澤 宏 (東京大学医学部附属病院循環器内科講師)

登録日: 2016-11-01

最終更新日: 2016-11-01

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  • 胸部X線写真で内臓脂肪の増加による横隔膜挙上による心陰影の拡大(心胸郭比50%以上)を見ることが多いが,そのようなケースにおいては心房細動の併発のリスクは増加すると考えたほうがよいのか。高血圧症が合併していればそのリスクはより増すのか。リスクが増加するのであればその発生機序も併せてご教示下さい。

    (質問者:大阪府 W)


    【回答】

    心房細動が生じる電気生理学的メカニズムについて研究が進み,現時点では,肺静脈-心房接合部を起源とする異常な電気興奮が,心房内での興奮旋回(リエントリー)を生じて心房細動が起こると理解されています。この部位の構造に変化が生じると,心房細動の開始と維持がともに助長されることが判明しています。

    ご質問のケースでは,横隔膜の挙上により,心臓が回転して横になった(滴状心の逆)ことで,見かけの心胸比の増加が考えられます。しかし,それと心房細動との直接的な関連を調べた文献は報告されていないようです。心房細動の開始や維持には,左房壁のストレッチが関与していることが知られていますので,解剖学的位置の変化により,心房細動の併発のリスクが増加することは十分に考えられます。また,横隔膜挙上による呼吸不全から,肺循環障害を生じ,左房負荷がかかることも,心房細動を発生しやすくする一因になると推測されます。

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