(質問者:大阪府 W)
心房細動が生じる電気生理学的メカニズムについて研究が進み,現時点では,肺静脈-心房接合部を起源とする異常な電気興奮が,心房内での興奮旋回(リエントリー)を生じて心房細動が起こると理解されています。この部位の構造に変化が生じると,心房細動の開始と維持がともに助長されることが判明しています。
ご質問のケースでは,横隔膜の挙上により,心臓が回転して横になった(滴状心の逆)ことで,見かけの心胸比の増加が考えられます。しかし,それと心房細動との直接的な関連を調べた文献は報告されていないようです。心房細動の開始や維持には,左房壁のストレッチが関与していることが知られていますので,解剖学的位置の変化により,心房細動の併発のリスクが増加することは十分に考えられます。また,横隔膜挙上による呼吸不全から,肺循環障害を生じ,左房負荷がかかることも,心房細動を発生しやすくする一因になると推測されます。
残り962文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する