近年,人工真皮や自家培養表皮の普及により,重症熱傷患者の救命率はさらに向上している。しかし,救命できても手指・四肢・顔面の瘢痕拘縮や肥厚性瘢痕,瘙痒感,発汗障害などに悩まされ,社会復帰は依然として難しい。
2008年に米国,カナダ,豪州の熱傷リハビリテーション臨床家が一堂に会し,熱傷リハビリテーションの現状と将来について議論し,課題を共有した(文献1)。また13年には,米国熱傷学会がコンセンサスリポートをまとめ,早期離床を進め,早期から継続的に観察評価する必要性を強調し,burn specific health scale-brief(BSHS-B)が世界標準の評価法となってきた。これは9つの領域からなり,点数づけすることで様々な時期に評価することができる。これらの点数が高いと,問題がより少なく,QOLがより高いと評価できる(文献2)。
この評価法は01年に発表後,各国の言語に翻訳し用いられるようになり,欧州・北米に浸透し,14年には,豪州,中国,イタリア,ポーランド,イスラエルから,15年には,ドイツ,ブラジル,台湾,インドからの報告があった。ただし,わが国からの報告が見当たらないのは非常に残念である。わが国の場合,患者の高齢化が際立っており,ぜひ他国と比較検討して頂きたいものである。
1) Richard R, et al:J Burn Care Res. 2009;30(4):543-73.
2) Gibran NS, et al:J Burn Care Res. 2013;34(4):361-85.