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慢性腎臓病(CKD)評価にMRIが有望 【非侵襲的で多角的に評価が可能】

No.4812 (2016年07月16日発行) P.54

井上 勉 (埼玉医科大学腎臓内科准教授)

岡田浩一 (埼玉医科大学腎臓内科教授)

登録日: 2016-07-16

最終更新日: 2016-10-29

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腎疾患の画像検査は大きく発展を遂げている。3テスラ医療用MRI装置を用いた種々の撮像法が,ヒト腎臓の評価に有益な可能性がある(文献1)。
これまで報告が多いのはblood oxygenation level dependent MRIであり,組織容量当たりのデオキシヘモグロビン量に関連する信号変化をT2*強調画像を利用して評価する方法で,腎臓では低酸素状態の指標として期待されている(文献2)。diffusion weighted imagingではADC(apparent diffusion coefficient:見かけの水分子の拡散係数)値が腎生検で評価した尿細管間質病変の程度に相関したとする報告がある(文献3)。水分子の自由拡散を規制する強さ(tensor)を画像化するdiffusion tensor imagingのFA(fractional anisotropy)値は,腎髄質で高く,皮質で低い。規則正しく平行に走る髄質の血管や尿細管の構造に関係すると考えられているが,糖尿病腎症では早期から,皮髄の差異が消失する。さらに,対象臓器に流入する血液を磁気的にラベルして内因性トレーサーとして用いるASL(arterial spin labeling)では,造影剤を用いずに腎組織灌流量を定量的に評価可能である。慢性腎臓病(CKD)の進行に伴って皮質血流が減少する様子が画像化されている。
腎臓のいわばfunctional MRIとも言える上記撮像法は,非侵襲的で多角的にCKDの評価が可能である。

【文献】


1) 井上 勉, 他:日腎会誌. 2015;57(7):1225◆32.
2) Prasad PV, et al:Circulation. 1996;94(12):3271-5.
3) Inoue T, et al:J Am Soc Nephrol. 2011;22(8):1429-34.

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