【Q】
医師は薬局(ドラッグストア)の薬剤師になることはできないと聞いたことがあります。これはなぜですか。 (岐阜県 K)
【A】
薬剤師法第2条において,「薬剤師になろうとする者は,厚生労働大臣の免許を受けなければならない」と定められており,同法第3条で,「薬剤師の免許(以下「免許」という。)は,薬剤師国家試験(以下「試験」という。)に合格した者に対して与える」と決められています。したがって,医師であっても薬剤師になることはできません。
また,医師であれば,薬剤師になれなくても,薬局やドラッグストアにおいて薬剤師の業務を行うことはできるのではないかという疑問もあるかもしれません。
しかし,薬局において行う「調剤」(表1)業務は以下の通り,薬剤師の独占業務になっています。医師に例外的に認められる場合もありますが,その場合でも,自己の処方箋による「調剤」に限られているため,他の医師の処方箋による「調剤」はできません。したがって,医師は,薬局において薬剤師の行う「調剤」業務を行うことはできないことになります。
一方で,医師には処方箋交付義務(医師法第22条)がありますので,医薬分業が進められる中で,医師と薬剤師の役割を分担していると言えます。
医薬品の店舗販売業者(いわゆるドラッグストア等)においても,要指導医薬品,一般用医薬品は,薬剤師または登録販売者が販売しなければならず(医薬品医療機器等法第36条の5,第36条の9),医師による販売の例外は認められていません。また,調剤した場合や,医薬品を販売した場合には,薬剤師等による情報提供・指導等が義務づけられています。
以上の通り,医薬分業の観点から医師と薬剤師の業務分担がされており,医師が薬局等で薬剤師として勤務することや,薬剤師の調剤業務等を行うことはできません。医師は「医療及び保健指導」(医師法第1条)を,薬剤師は「調剤,医薬品の供給その他薬事衛生」(薬剤師法第1条)を掌るとされていることからも役割分担がされていることがわかると思います。
ただし,いずれも「国民の健康な生活を確保する」(医師法第1条,薬剤師法第1条)ことを最終目的にしており,目的は共通になっています。