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冠動脈ステントの現状と展望 【第2世代DESが広く使用されているが,同等以上の有用性を持つ新規デバイスが登場】

No.4829 (2016年11月12日発行) P.48

夏秋政浩 (福岡県済生会福岡総合病院心臓血管・大動脈センター循環器内科部長)

登録日: 2016-11-08

最終更新日: 2016-11-09

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冠動脈ステントの歴史は従来型の金属ステント(BMS)に始まり,2004年にはわが国でも薬剤溶出性ステント(DES)の使用が可能となった。第1世代DESはBMSと比較し再狭窄のリスク低下をもたらしたが,ポリマーに起因する慢性期の遅発性血栓症などが問題となった。

第1世代の問題点を解決すべく,生体適合性の高いポリマーを使用した第2世代DESが,10年からわが国でも使用可能となった。エベロリムス溶出性ステント(Xience)は第1世代DESやBMSと比較し,血栓症のリスクが有意に低いことが報告され1),現在広く使用されている。

さらに15年以降,ストラットが薄く,生体吸収性ポリマーを使用した第3世代DESが登場した(UltimasterTM,SynergyTM)。UltimasterTMとXienceを比較した臨床試験では,2年で同等の成績が報告されている2)。生体吸収性ポリマーと生体適合性ポリマーとの比較では,現在のところ臨床成績に明らかな差を認めていないが3),長期的な生体吸収性ポリマーの利点が期待されている。

また,新たなデバイスとして,生体吸収性スキャフォールド(BVS)が承認予定である。国内治験では,1年でXienceと同等の成績が報告されている。2~3年で加水分解により完全にスキャフォールドが消失するため,より長期にわたる臨床成績の改善が期待される。

【文献】

1) Palmerini T, et al:Lancet. 2012;379(9824): 1393-402.

2) Saito S, et al:Eur Heart J. 2014;35(30):2021-31.

3) Natsuaki M, et al:JAMA. 2014;311(20):2125-7.

【解説】

夏秋政浩 福岡県済生会福岡総合病院心臓血管・大動脈センター循環器内科部長

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