滲出型加齢黄斑変性(age-related macular degeneration:AMD)治療の第一選択は抗血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)薬であるが,繰り返し投与が必要で,また薬剤費も高額である
日本人の滲出型AMDはポリープ状脈絡膜血管症の割合が欧米人より有意に高く,また欧米人より光線力学療法(photodynamic therapy:PDT)の治療成績は良い
PDT後の視力悪化例も存在することから,PDTは,有効性が期待される例に用いるべきである
抗VEGF薬とPDTは奏効メカニズムが異なることから,両者を積極的に併用することで,より少ない抗VEGF薬の投与回数で病状安定化を得ることが期待できる
抗VEGF療法は,現在のAMD治療の第一選択であり,患者に視力回復をもたらしうる有用な手段である。しかしながら,効果の持続期間が短いことから繰り返し治療が必要になることと,薬剤が高額であることがデメリットである。中にはノンレスポンダー例や,経過中に効果が減弱する例も存在する。
PDTは,光感受性物質と低エネルギーでのレーザー照射を組み合わせた治療である(図1)。従来の熱エネルギーによるレーザー治療とは異なり,低いエネルギーで光化学反応を起こして治療するため,正常組織に大きな障害を与えることなく,病巣部を選択的に治療することが可能である1)。わが国では2004年から,AMD症例でみられる中心窩下の脈絡膜新生血管に対し,光感受性物質ベルテポルフィン(ビスダイン®)を使用したPDTが保険適用となっている。
静注されたベルテポルフィンは血中の低比重リポ蛋白(low-density lipoprotein:LDL)と結合し,LDLレセプターを多く発現する脈絡膜新生血管に集積する。脈絡膜新生血管を覆うように低エネルギーでレーザー照射をすると,ベルテポルフィンから一重項酸素が発生し,炎症反応も加わって新生血管が閉塞する。治療後には48時間の遮光が必要であるが,内眼操作を要しないので,通常,痛みなどは伴わず,感染などのリスクもない。ただし,視機能悪化例の存在が報告されている。
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