株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

病棟でのインフルエンザ感染防御措置の有無は損害賠償請求の対象になるか? 【感染経路立証が必要】

No.4831 (2016年11月26日発行) P.64

森谷和馬 (千葉大学大学院専門法務研究科特任教授/弁護士)

登録日: 2016-11-23

最終更新日: 2016-11-21

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • インフルエンザ流行期に,病棟でインフルエンザが蔓延し,後日訴訟が起こされたとき,感染防御措置(ドアノブの清拭等)をしていなかった場合には,それが損害賠償請求の対象になりうるのでしょうか。マスク,手指消毒液(アルコール等)の設置はほとんどの医療機関で行われているようですが,清拭まではなされていないようです。なお,何らかのガイドラインがあれば併せてご教示下さい。

    (質問者:岐阜県 K)


    【回答】

    まず,インフルエンザに限らず,病院内で感染症が発生した場合,感染した当該患者が感染したことについて病院の責任を問うのは,きわめて困難です。民事の損害賠償請求訴訟では,感染の経路(いつ・どこから・どのように)を原告・患者側が証明しなければならないというルールがありますが,患者がそれを証明することは難しいのが通常です。仮にそのハードルを越えたとしても,患者側は感染したことについて,病院側に何らかの落ち度があったこと,その落ち度がなければ感染は避けられたことを証明する必要がありますので,これらのすべてを証明しない限り,病院側の賠償責任は認められません。そのため,弁護士が患者から相談を受けた場合には,「立証が困難である」という説明をすると考えられます。

    したがって,インフルエンザが蔓延する中で入院患者がインフルエンザに感染したとしても,感染した責任を問う訴訟が起きる可能性は低いと考えられます。

    残り788文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top