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腎癌に対する分子標的治療薬の副作用対策 【薬剤ごとに特有の副作用に応じ,適切な対策をとることが肝要】

No.4832 (2016年12月03日発行) P.53

仲村和芳 (千葉大学泌尿器科)

登録日: 2016-11-30

最終更新日: 2016-11-28

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腎癌の分子標的治療薬は,マルチキナーゼ阻害薬やmTOR阻害薬を代表とし,わが国でも多くの薬剤が使用されている。使用される頻度が増すとともに,頻度の高い有害事象も明らかとなり,特有なものが多く報告されている。

マルチキナーゼ阻害薬では,高血圧,心不全症状,骨髄抑制,下痢,甲状腺機能低下症,手足症候群,疲労などが代表的である。また,mTOR阻害薬では,糖代謝異常や間質性肺炎が代表的とされる。当院でもこれらの有害事象を多く経験しているが,中には重度の有害事象も認めた。

当院で行っている副作用対策の代表例をいくつか紹介したい。高血圧に関しては,カルシウム拮抗薬,ARB,利尿薬,β遮断薬などを使用し,1剤でコントロールできない場合は2剤併用を行っているが,コントロール不良症例は循環器内科に協力を依頼している。下痢に関しては,軽度であれば整腸薬,中等度でロペラミドを使用している。一方,一度下痢が改善した際に予防的処方として漢方の半夏瀉心湯も有効な手段と考えている。また,手足症候群は重症化する前の予防が肝要と考えており,看護師と協力して患者教育を行っている。まずは,手掌や足底にできるだけ圧をかけない工夫(綿の靴下,クッション性の高いサンダル),保湿クリームの使用や低刺激石鹸の使用を指導し,発赤が出現した際に重症化を防ぐためにステロイド外用薬を使用している。高頻度に認める疲労では,今まで休薬や治療スケジュールの変更によってのみ対処されてきたが,当院では漢方による治療,具体的には人参養栄湯を軸に内容を調整し処方することで効果を得ている。

【解説】

仲村和芳 千葉大学泌尿器科

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勤務形態: 常勤
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