日本医師会と米国研究製薬工業協会(PhRMA)はこのほど、今後の認知症対策についてシンポジウムを開催した。講演した鈴木邦彦常任理事は、認知症は薬物療法で治癒しないことから、予防や患者の自立期間延長の取り組みの必要性を強調。「かかりつけ医が中心となった地域包括ケアシステムを地域で開発することが求められる」と訴えた。
シンポではまた、家族の立場から鈴木森夫氏(認知症の人と家族の会、写真)が、患者は最初の医療機関を受診するまでに平均9.5カ月、確定診断を受けるまでに6カ月かかっていると指摘。また、患者が直接告知された場合は約半数が今後の生活について家族と話し合っているのに対し、告知されなかった場合、話し合いは2割にとどまっているとして、「病気の説明だけでなく、患者はどう生きていけるのか、家族や友人はどう支えていけるのか考えるため介護・福祉の制度やサービスについて情報が欲しい。早期に診断された場合も早期絶望にならないように」と訴えた。その上で、「多忙な医師から今後の生活のアドバイスを丁寧に説明してもらうのは難しい。多職種が連携し、チームで関わっていく形が必要」と強調した。