エイズと性感染症に関する特定感染症予防指針の改定に向けた議論が厚生労働省の厚生科学審議会感染症部会「エイズ・性感染症に関する小委員会」(委員長=岩本愛吉日本医療研究開発機構科学技術顧問)で進んでいる。厚労省は小委員会の議論を踏まえ、今春までに指針を改定・告示する予定だ。両指針の直近の改定は2012年1月。指針は5年ごとに見直されている。
厚労省によると近年、新規のHIV感染者・エイズ患者の報告数は、年間約1500人。抗HIV療法の進歩により患者の延命が図られ、長期・在宅療養等の新たな課題が生じている。 一方、指針の対象となる性感染症(性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ、梅毒、淋菌感染症)は若年層における発生割合が高い。このうち梅毒の報告数は10年以降増加を続けており、2016年の報告数は4518人で、10年の7倍となった。
23日の会合で議論された課題の1つが、エイズ治療拠点病院以外の医療機関がHIV感染者・エイズ患者の診療を拒否する事例が存在する問題。委員からは、HIV感染に関する最新知見を周知する必要性が指摘された。厚労省は小委員会に対し、「感染者や患者の診療・介護には特別な予防策は必要なく、標準感染予防策で対応できる」ことを指針に記載することを提案し、了承された。