株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

腎臓再生医療の進捗と展望 【幹細胞の自己組織化能や腎臓発生プログラムを利用した研究が飛躍的に進歩】

No.4844 (2017年02月25日発行) P.56

鈴木祐介 (順天堂大学医学部腎臓内科学教授/同大学大学院医学研究科腎臓内科学教授)

横尾 隆 (東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科教授)

登録日: 2017-02-22

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • iPS細胞など再生医療が注目を集めています。腎臓は最も再生が難しい臓器のひとつとされていますが,現時点での腎臓再生医療(腎再医療)の進捗と展望について,東京慈恵会医科大学・横尾 隆先生にご教示をお願いします。

    【質問者】

    鈴木祐介 順天堂大学医学部腎臓内科学教授/ 同大学大学院医学研究科腎臓内科学教授


    【回答】

    慢性腎不全に対する透析・移植に次ぐ次世代の治療法として,腎臓再生医療への期待は高まってきていますが,臨床応用への道のりはまだまだ遠いのが現状です。というのも,腎臓は精巧な立体構造を持っているからこそ機能を発揮することができるので,iPS細胞などの多能性幹細胞から「細胞」「組織」をつくるのではなく,立体構造を持った「臓器」の再生まで完成しなければ臨床応用できないからです。

    しかし一方で,発生の過程で,誰もがこの複雑で精巧な臓器を間違いなくつくり上げているという事実があります。つまり究極の腎臓再生法とは,この発生の過程で遂行されるプログラムをすべて解き明かし,腎臓幹細胞にこのプログラムを与え,一から腎臓をつくり上げてしまうことでしょう。もしくはプログラムのすべてを解き明かすのではなく,異種の胎仔を借りてしまうという発想もあります。現在は,このようなde novoで腎臓をつくり上げる再生医療に挑戦しているグループがあり,研究は飛躍的に進歩しています。

    残り1,011文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top