【質問者】
鈴木祐介 順天堂大学医学部腎臓内科学教授/ 同大学大学院医学研究科腎臓内科学教授
慢性腎不全に対する透析・移植に次ぐ次世代の治療法として,腎臓再生医療への期待は高まってきていますが,臨床応用への道のりはまだまだ遠いのが現状です。というのも,腎臓は精巧な立体構造を持っているからこそ機能を発揮することができるので,iPS細胞などの多能性幹細胞から「細胞」「組織」をつくるのではなく,立体構造を持った「臓器」の再生まで完成しなければ臨床応用できないからです。
しかし一方で,発生の過程で,誰もがこの複雑で精巧な臓器を間違いなくつくり上げているという事実があります。つまり究極の腎臓再生法とは,この発生の過程で遂行されるプログラムをすべて解き明かし,腎臓幹細胞にこのプログラムを与え,一から腎臓をつくり上げてしまうことでしょう。もしくはプログラムのすべてを解き明かすのではなく,異種の胎仔を借りてしまうという発想もあります。現在は,このようなde novoで腎臓をつくり上げる再生医療に挑戦しているグループがあり,研究は飛躍的に進歩しています。
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