夜間頻尿は,夜間排尿のために1回以上覚醒する症状と定義されるが,本邦の40歳以上の男女における疫学調査では,夜間頻尿を有する者は約4500万人もいることが示されている。また,夜間頻尿は睡眠障害を引き起こしQOLの低下につながる症状であり,種々の下部尿路症状の中で最も支障度が高いとされている。夜間頻尿の病態は多岐にわたり下部尿路の異常のみならず,循環器系,呼吸器系,内分泌系疾患などの異常が関与するため,夜間頻尿の診療においては下部尿路機能のみならず全身的要因を考慮に入れて検索することが重要であり,それぞれの病態に応じた適切な治療を選択する必要がある。さらに,夜間頻尿の治療においては,薬物治療に加えて生活指導や行動療法の役割も重要となる。本特集では,夜間頻尿の病態,診断,治療についてそれぞれエキスパートに実践的に解説頂いた。
1 夜間頻尿の病態とリスク因子
福井大学医学部器官制御医学講座泌尿器科学准教授 秋野裕信
福井大学医学部器官制御医学講座泌尿器科学 青木芳隆
福井大学医学部器官制御医学講座泌尿器科学教授 横山 修
2 夜間頻尿の原因診断 ─排尿日誌の有用性
宮津武田病院院長 曽根淳史
3 夜間頻尿の治療ストラテジー ─生活指導・行動療法・薬物療法
東京都リハビリテーション病院診療部長泌尿器科 鈴木康之