厚生労働省の「新たな自殺総合対策大綱の在り方に関する検討会」(本橋豊座長)は3月27日、国の自殺対策の基本方針となる「自殺総合対策大綱」の見直しに向けた報告書骨子案を了承した。過重労働やいじめによる自殺の防止に向け、さらなる取り組みを行う必要性を強調している。
我が国の自殺者数は2010年以降7年連続で減少しており、16年には22年ぶりに2万2000人を下回ったが、報告書では「依然として年間2万人を超えるという深刻な状況」との認識を明示。
個別施策では、過重労働などの「勤務問題による自殺」に焦点を当て、働き方改革の議論も踏まえながら、長時間労働の是正に向けた取り組みの強化に加え、職場におけるメンタルヘルス対策を推進すべきとしている。
子どもや若者については、いじめ自殺防止の観点から、スクールソーシャルワーカーの配置を進めるほか、児童・生徒が強い心理的負担を受けた場合の対処法を学校が教える「SOSの出し方教育」を強化すべきとした。
今後10年間の目標としては、「先進諸国の現在の水準」の自殺死亡率(人口10万対自殺死亡数)を目指すこととする。厚労省は4月にも報告書を取りまとめ、政府が今夏をメドに新大綱を閣議決定する予定。