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高リン血症とCKDの進行【因果関係は未確定のため,より多くの症例でのリン吸着薬による介入研究が待たれる】

No.4851 (2017年04月15日発行) P.54

熊谷天哲 (帝京大学地域医療支援講座特任講師)

内田俊也 (帝京大学内科教授)

登録日: 2017-04-11

最終更新日: 2017-04-10

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CKDにおいて,腎におけるリンの排泄低下から高リン血症が少なからず併発する。最近,メタアナリシスで血清リン濃度が1mg/dL上昇すると腎不全のリスクが上昇する(ハザード比;1.36)ことが示され,大きな注目を集めている1)。筆者らのCKDコホート研究でも傾向スコアを用いた解析で,正常高値の血清リン濃度はESRDの有意なリスク因子であった2)。高リン血症がCKD進行のリスク因子であるかどうかの結論を出すには,リン吸着薬による介入研究が必要である。

保存期CKDでのリン吸着薬の有用性を見た臨床研究は非常に少ない。観察研究では,1188人の在郷軍人のコホートにおいて,リン吸着薬(セベラマーとカルシウム製剤)内服とeGFR slopeとに関連は認められなかった3)。RCTでは,保存期のCKD患者を対象にし,プラセボ群,炭酸ランタン,セベラマー,酢酸カルシウムの各群30人に割り付けた研究4)では,リン吸着薬投与群で腎機能改善効果は認められなかった。

保存期CKDにおけるリン吸着薬投与の腎機能への影響を見た研究は,これまでのところ否定的な結果であるが,症例数が非常に少なく,まだ結論は得られていない。将来,より多くの症例で長期間にわたる研究の施行が期待される。

【文献】

1) Da J, et al:Am J Kidney Dis. 2015;66(2):258-65.

2) Chang WX, et al:PLoS One. 2016;11(4):e0154469.

3) Kovesdy CP, et al:Am J Kidney Dis. 2010;56 (5):842-51.

4) Block GA, et al:J Am Soc Nephrol. 2012;23(8): 1407-15.

【解説】

熊谷天哲 帝京大学地域医療支援講座特任講師

内田俊也 帝京大学内科教授

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