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腫瘍用薬に関連した医療事故[医療安全情報UpDate]

No.4852 (2017年04月22日発行) P.21

登録日: 2017-04-19

最終更新日: 2017-04-18

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  • 日本医療機能評価機構が医療事故情報とヒヤリ・ハット事例を収集・分析する医療事故情報収集等事業。同事業における医療事故の定義は「行った医療または管理に起因して患者が死亡、もしくは心身の障害が残った事例」などで、昨年末時点で1447医療機関が参加している。
    機構は3月27日、医療事故情報収集等事業の第48回報告書を公表した。分析テーマの1つが「腫瘍用薬に関連した事例」。2010〜16年に報告された腫瘍用薬に関連した医療事故は297件(表)。内容は「薬剤の血管外漏出・血管炎」が最も多く95件。次いで、「投与中の状態の悪化(副作用等)」が60件、「薬剤量間違い/過剰」が39件と続いた。
    報告書は薬剤の血管外漏出・血管炎の代表的な事例も紹介している。それによると、悪性リンパ腫の治療のためアドリアシン注用(ドキソルビシン塩酸塩)を投与後、患者が軽度の痛みを訴えたため確認すると点滴穿刺部周囲に発赤と腫脹を認めた。皮膚科を受診し経過観察をしていたが、その後、漏出部分の一部は黒色壊死となった。
    この事例について機構の専門分析班・総合評価部会は「投与時に逆血が確認できないまま投与したため漏出量が多くなり、壊死に至った可能性がある」と指摘。その上で改善策として、①毒性の強い薬剤については、特に点滴時の観察に注意を払う、②血管外漏出による皮下組織への影響が患者の想像よりも場合によっては大きくなることを医療者側と患者側とで共通認識を持ち、悪化する前に定期的に受診するよう説明を行う、③アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の血管外漏出治療剤を早期かつ積極的に使用する、④血管外漏出に関するマニュアルを改善する─と提案した。

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