居住者の健康を維持するという観点から,問題のある建物内においてみられる健康障害を総称してシックハウス症候群と呼んでいる。その中でも,主として人工化学物質による室内空気汚染によって生じる狭義のシックハウス症候群については,標準化された疾患概念が十分に確立していないため,本症候群を取り扱う医療機関によって患者背景が大きく異なり,たびたび現場での混乱も指摘されている。本特集では,最近問題となっているシックハウス症候群の動向について,環境医学的ならびに建築工学的な視点から解説し,本症候群への対策と予防に関する理解を深めることを目的とした。
1 シックハウス症候群,化学物質とアレルギー
京都大学大学院工学研究科都市環境工学専攻環境衛生学講座教授 高野裕久
2 最近問題となる室内空気汚染物質とシックハウス症候群
千葉大学予防医学センター 中岡宏子
千葉大学予防医学センター特任教授 瀬戸 博
千葉大学予防医学センター教授 戸髙恵美子
千葉大学予防医学センター長/教授 森 千里
3 建築工学的視点から見た医師に必要な知識─シックハウス症候群を中心に
早稲田大学創造理工学部建築学科教授 田辺新一
早稲田大学理工学研究所研究員講師 金 炫兌