古くはX線検査や超音波検査から始まった医用画像の利用は,精度が飛躍的に上がるにつれて,疾患の診断や異常所見の発見に主眼を置いた「放射線診断」に用いられるだけでなく,手術や穿刺といった,いわゆる「治療」の分野での利用が可能となり,外科分野に大きな変革を起こしつつある。
泌尿器科領域においては,「腎癌の手術ナビゲーション」として小径腎細胞癌などで利用が試みられている。とはいえ,小径腎細胞癌に対する「手術ナビゲーション」の応用は近年開始されたばかりである。なぜなら,2000年初頭までは小径腎細胞癌が発見されること自体が比較的稀であり,しかも多くの症例では腎摘除術や開腹腎部分切除術が行われていたからである。
わが国においても07年になってようやく,「腎癌診療ガイドライン」で4cm以下の小径の腎腫瘍には部分切除術が推奨された。04年に米国でロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術(robot-assisted partial nephrectomy:RAPN)が開発された1)ことから,高難度な症例に対しての腎部分切除術が行われるようになり,「腎癌の手術ナビゲーション」の必要性がクローズアップされるようになってきたのである(図1)。
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