尿道造影には,逆行性尿道造影と順行性尿道造影があるが,成人泌尿器科分野ではほぼ順行性尿道造影は行われておらず,本稿では尿道造影=逆行性尿道造影として述べていく。
まず,12Frネラトン・カテーテルを挿入し,膀胱内を空にする(その際に残尿量も測定する。後述する尿道損傷時には必ずしも必須ではない)。30%非イオン性造影剤を約40mLほど準備する。撮影時の体位は45°の斜位,上の足は伸展させ,下の足は屈曲させるLanger-Wittkowsky体位をとる。造影剤を注入する際には,陰茎がまっすぐになるように牽引し,尿道を可能な限り直線化させる。
造影剤の注入は緩徐に行うことが重要である。造影剤を早く強く注入すると,尿道の圧が強くなり,外尿道括約筋が収縮し,造影剤が前立腺部尿道から先に入らず,後部尿道の描出ができなくなる。また,造影剤を強く注入すると,尿道の粘膜が損傷し,尿道海綿体への溢流や静脈還流がみられるようになる。最近では注入を一定に行い,被ばくを防ぐために,マンシェット型造影剤注入器が用いられることも多くなってきている1)2)。
1990年代までは超音波検査がまだ一般診療にまで普及しておらず,前立腺肥大症の評価方法として直腸診,尿道造影,尿道膀胱鏡が一般的に行われてきた。特に尿道造影は,唯一の画像診断として手術適応を決める重要な検査であった。
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