未治療初発膀胱癌の約70%は筋層非浸潤性膀胱癌と診断され,膀胱温存を主とした治療が選択される。『膀胱癌診療ガイドライン 2015年版』1)では,筋層非浸潤性膀胱癌を低リスク群,中リスク群および高リスク群の3つのリスクに分類している。膀胱内再発や筋層浸潤のリスクが特に高い高リスク群は,T1,high grade,上皮内癌,多発,再発,のいずれかを含むものと定義されている。
高リスク群に対しては膀胱内再発予防の観点から,術後補助療法としてBCG膀胱内注入療法が推奨されている。BCG導入療法後に行うBCG維持療法により,膀胱内無再発生存率や無増悪生存期間が延長することが大規模臨床試験(SWOG)で示され2),高リスク筋層非浸潤性膀胱癌に対してはBCG維持療法が推奨される。BCG維持療法の投与量や投与期間に関する前向き臨床試験が行われ,通常量は1/3量より有意に膀胱内再発が低かったが,投与期間3年と1年の間では膀胱内再発に有意差は認められなかった3)。しかし,BCG膀胱内注入療法の投与レジメンは現時点では確立されておらず,国内外で行われている臨床試験の結果が待たれる。
【文献】
1) 日本泌尿器科学会, 編:膀胱癌診療ガイドライン 2015年版. 医学図書出版, 2015.
[http://www.urol.or.jp/info/guideline/data/01_bladder_cancer_2015.pdf]
2) Lamm DL, et al:J Urol. 2000;163(4):1124-9.
3) Oddens J, et al:Eur Urol. 2013;63(3):462-72.
【解説】
西山直隆*1,舛森直哉*2 *1札幌医科大学泌尿器科 *2同教授