SGLT2阻害薬は,SGLT2を選択的に阻害することで血糖降下作用を示し,糖尿病に伴う病態を改善する
SGLT2が阻害された際にSGLT1がグルコース再吸収を代償することが,SGLT2阻害薬が比較的低血糖を生じにくいことに寄与している
SGLT2阻害薬は,尿細管の管腔側から作用してSGLT2を選択的に阻害し,心筋,骨格筋,近位直尿細管のSGLT1は阻害しない
SGLT2阻害薬の腎以外での作用や臓器連関を介した作用も示唆されてきており,多様な臨床効果の機序が明らかになっていくものと期待される
新たな作用機序の経口血糖降下薬として開発されたナトリウム依存性グルコース輸送担体2(sodium-glucose co-transporter 2:SGLT2)阻害薬は,腎近位尿細管でグルコースの再吸収を担うSGLT2を選択的に阻害し,尿中へのグルコース排泄を増加させることで血糖値を下げ,糖毒性を軽減するというコンセプトで開発された1)。これにより,インスリン分泌能を回復させ,インスリン抵抗性を改善するとともに,糖尿病に伴う病態を改善する1)。
SGLT2阻害薬は,近位尿細管におけるグルコースの再吸収を抑制して血糖値を低下させるという,一見単純な作用機序の薬物であるが,高血糖を是正あるいは尿糖の排泄を増加させることによる二次的,三次的な作用が加わり,様々な全身作用を示す。
大規模臨床試験の結果に基づいて,心血管死を減少させることが報告され,また,腎保護効果についても,腎障害の進行を抑え,腎臓に関連する有害事象の発生率を低下させることが報告された2)3)。SGLT2阻害薬の臨床における有効性を示すエビデンスが蓄積されていく中,薬物作用においても当初考えられていたほど単純ではない実態が見えてきている。
本稿では,SGLT2阻害薬の基礎研究における最近のトピックスも含めて,SGLT2の機能とSGLT2阻害薬の作用機序について概説したい。
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