わが国でも,今や利益相反(conflict of interest:COI)表示は当然となった。この“COI”を全面的に特集したのが,2017年5月2日号の米国医師会雑誌(The Journal of the American Medical Association:JAMA)である。23本の原著論文と随伴する48本の論説が掲載された。目を引いたのは,「COI透明性」の確保に向けた米国での取り組みだ。
以下,非営利団体“ProPublica”で記者として活躍するCharles Ornstein氏の論文から紹介する。
2010年,米国で医師への支払いに関する「サンシャイン法」が施行された。医師に対する金銭の流れを明るみに出そうという試みである。導入目的のひとつは,研究や教育,臨床判断への不適切な影響の除外だ。同法により製薬会社・医療機器メーカーには,10ドルを超える医師への利益供与をすべて報告する義務が課された。利益には現金だけでなく,食事代や交通費,ギフトに要した費用なども含まれる。また,個々の支払いが10ドル未満でも,年間総額が100ドルを超えると報告義務が生じる。不履行には課徴金(民事制裁金)が課せられる。
報告された結果は,連邦保健・福祉省メディケア・メディケイドサービスセンター(Centers for Medicare & Medicaid Services:CMS)のウェブサイトで公開され,医師の姓名を入力すると会社別の支払い金額とその明細が見られる1)。このデータベースを用いれば,医師によるCOI自己申告の真偽のチェックも可能である。
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