日本尊厳死協会が6月24日に開催したリビングウイル研究会で、松隈知栄子弁護士(高齢者障害者権利支援センター)は成年後見人の立場から、意思決定困難者への支援手続きに「法制度や行動指針が必要」と指摘した。
講演で松隈氏は、厚生労働省の「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」について言及。ガイドラインでは「患者の意思が確認できない場合、患者にとって最善の治療方針を家族がいる場合は十分に話し合い、医療・ケアチームで慎重に判断し、委員会で検討・助言する」としていることについて、「最善」「家族」「委員会のよるべき基準」に定義がないことを問題視。患者の権利や医療同意、事前指示書に関する法律も存在しないとして、「法制度や行動指針が必要」と訴えた。
松隈氏はその上で、「家族や近親者による事実上の医療同意は、社会ではあうんの呼吸となっており、判例上で認めている事例もあるが、それが許される法律構成は明らかになっていない」と説明。「血のつながりはあっても30年関わりがなかった甥を家族と言えるのか」「家族が虐待をしているケースもある」「医師は、適切な家族に説明して承諾を得ないと、裁判で責任を問われる場合もある」と指摘し、家族の定義について明確にする必要性を問題提起した。
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