日本ホスピス緩和ケア協会は15日、都内で総会を開いた。総会では、ホスピス・緩和ケア病棟における受動喫煙防止対策が議題に上がり、同協会が示している「原則屋内禁煙」の方針を巡り、賛否両論が交わされた。志真泰夫理事長は「敷地内禁煙とするかは診療報酬上の評価も絡む問題」と述べ、9月の常任理事会で協会の方針を改めて検討する考えを示した。
厚生労働省の受動喫煙防止対策の強化案では、医療機関は「敷地内禁煙」とされている。一方、同協会が会員施設を対象に昨年実施した調査によれば、約3割の病棟が何らかの形で生命予後の短い喫煙患者に配慮し、喫煙を許可している。同協会は、昨秋行われた厚労省のヒアリングで、ホスピス・緩和ケア病棟を「原則建物内禁煙」とし、患者が喫煙する場合は原則として病棟スタッフの付き添いをしないことを国が推奨するよう求めた。
同日の総会では、下稲葉順一理事(栄光病院)が「たばことライターは詰所預かりとし、喫煙室に看護師が一緒に入って見守ることはない」と自院の対応を説明。受動喫煙対策の必要性は認めつつ「施設ごとに柔軟な対応を認めるべき」と述べた。中橋恒理事(松山ベテル病院)は「受動喫煙対策は時代の流れだが、心を閉ざしていた患者が喫煙中の会話を通じてライフレビューを始め、スピリチュアルケアにつながることもある」と主張した。
これに対しフロアからは、「医療者の団体が例外的に喫煙を認めてほしいと要望することに反対だ」との声や、「緩和ケア病棟へ移るまでに禁煙治療完了を目指すべきだが、現実的にすぐには難しい」などの意見が上がった。