難易度:★☆☆☆☆
司会&総合診療科指導医K:今日は消化器内科からの症例です。それではよろしくお願いします。
消化器内科指導医M:最近のこのカンファレンスは,ちょっと専門性が高くて難しめな気がします。指導医はよいかもしれませんが,初期研修医からすると,もっと標準的な内容というか,各専門科の他科に対し「これだけはやってほしい」「これだけは理解してほしい」ということを示す内容がよいのではと思います。では,どうぞ。
標準的な症例
担当医(消化器内科後期研修医):はい。久々で緊張しています。よろしくお願いします(スライド1・2)。
会 場:経過中熱はあまりないということですか。
担当医:そうですね。
会 場:ドリアというのは,自宅で手作りですか。
担当医:コンビニで購入したもので,しかもけっこう加熱したらしいです。保存料もしっかり入っているものです。
会 場:これ,救急車で搬送されているんですよね。そんなに具合が悪かったのですか。
担当医:初療を担当した先生にうかがったところでは,判断がつきにくかったみたいです。
司 会:嘔吐を伴う嘔気は,本当につらいものです。数日続き,耐えられなかったのでしょう。
会 場:倦怠感はどうでしたか。
担当医:かなり重かったですね。主訴に入れるべきでしたね……。倦怠感はかなりしっかりありました。「ダル〜いっ」という感じで。
会場(研修医):性交渉歴などは。
担当医:鋭いですね。割と不特定多数の男性と性交渉があるみたいです。
消化器内科指導医M:「割と」って何ですか。
担当医:すみません……。
司 会:いや,よくわかりますよ(笑)。研修医のみなさん,この経過で先生方だったらまず何をしますか。何でもいいです。思いついたことを言ってみて下さい。
会場(研修医):えーと,採血ですか。
司 会:そうですね。消化器症状=腸の病気,と考えて上部消化管内視鏡に飛びつかないのは大事です。急性の経過ですし,しかも下痢などもないですし,まずはこの主訴,この病歴なら鑑別は広く考えます。
会 場:広い候補から絞るのに採血ということでしょうか。
司 会:私の場合,「絞る」という感じではないです。何というか,クラスターを決めるというか。どっち方向に鑑別を向けたらよいかわかる気がします。
担当医:救急外来では,救急車で搬送されたということもあって血液検査はすぐ実施されたようです。ではその結果をお示しします(スライド3)。