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重度障害児のNICUから在宅医療移行への取り組み【児への医療的ケアのみならず,地域を巻き込んだ家族へのサポートが不可欠】

No.4868 (2017年08月12日発行) P.50

竹下暁子 (東京女子医科大学小児科)

登録日: 2017-08-08

最終更新日: 2017-08-07

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近年,新生児医療の発展により,以前は救命の難しかった先天異常児の予後も飛躍的に改善した。

特に単一臓器に障害がある場合だけでなく,多臓器に障害を持つ染色体異常症や単一遺伝子病では,生直後から重症な合併症に対して多数の医療的ケアや医療機器を必要とする。そのため,NICU(新生児集中治療室)での長期入院を余儀なくされ,児が家族と,家族の一員として家庭で過ごす機会が奪われてしまう。また,NICU入院の長期化はNICUの入院受け入れにも大きな影響を与える。

しかし,それぞれの合併症に応じて,在宅で対応可能な医療的ケアを導入することで,在宅医療へ移行をすすめ,家族とともに地域の中で過ごすことを可能にした。実際当院でも,18トリソミーなど先天性の心疾患,消化管奇形,喉頭軟化症,気管軟化症,腎尿路奇形,嚥下機能障害など,多臓器に合併症を有する重症先天異常児を様々な医療的ケア(気管切開,人工呼吸,在宅酸素,経管栄養,自己導尿など)を導入して,NICUから小児科病棟を経て,在宅医療へ移行することをすすめている。

当院が在宅医療移行において大事にしていることは,第一に,NICUという集中治療室の場から小児科での付き添い入院(数週間〜数カ月)を通して,家族が実際の家庭での生活をイメージし,医療的ケアの手技や医療機器の扱いに慣れるためのサポートを行うことである。第二は,地域の訪問診療医,訪問看護,保健師らとの密な連携の確立である。そして,家族には在宅医療は家族だけで頑張るのではなく,児に関わるスタッフ全員で取り組む,ということを感じてもらうことにある。

【解説】

竹下暁子 東京女子医科大学小児科

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