【質問者】
岡崎任晴 順天堂大学医学部附属浦安病院小児外科 先任准教授
VURに対する内視鏡的注入逆流防止術は,わが国では2010年から保険適用になり普及してきました。その適用逆流は国際分類GradeⅡ~Ⅳに定められています。しかし,従来の手術法と比較して成績(逆流消失率)が低いために,広く用いられている手技とは言いがたい面があります。本手技の最大の利点は,低侵襲かつ日帰りで行うことが可能な点です。
Deflux®を用いた内視鏡的注入逆流防止術の適応は,従来の外科的手術の適応と同じと考えています。すなわち,①breakthrough UTI,UTIコントロール不良例,②GradeⅤのVUR,③腎機能低下例(発見時もしくは経過観察中),④予防的抗菌薬投与対象年齢以降の年長児の繰り返すUTI症例,⑤下部尿路機能障害を伴う高度VUR,が適応となります1)。しかし,内視鏡的注入逆流防止術は保険診療上,国際分類GradeⅡ~Ⅳに限られます。
有効性に関しては,Deflux®を用いた内視鏡的注入逆流防止術の有効率は73~98%で,諸家の報告によりその成績に差があるのが現状です。これは注入技術に差があるのかもしれません。メタ解析によると内視鏡的注入療法(に限らないDeflux®)による逆流消失率は,初回治療で74%,VURのGrade別では,GradeⅡ 79%,GradeⅢ 72%,GradeⅣ 63%です2)。
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