【質問者】
山縣邦弘 筑波大学医学医療系腎臓内科学教授
ADPKD症例では,腎機能低下の進展とは反比例して腎サイズが逆に大きくなり,これは他の腎疾患にはみられない本症特有の特徴です。腎症進展を予防する内科的治療としては,高血圧合併者がその最大の危険因子とされていることから厳重な降圧薬治療が必要になります。
1988年の日本透析医学会の調査において,本症の透析導入年齢が平均55.8歳でしたが,2013年の調査では62.3歳に伸びました。腎不全管理で高血圧治療を内科医が積極的に行ったことがその要因と考えられます。トルバプタンの効果については,現在進行形でもう少し時間が必要ですが,10年後,20年後に評価されると期待しています。
さらに透析導入後も腎腫大が続き様々な合併症が生じたとき,従来は腎摘除術を含めた外科的治療法が選択されてきましたが,嚢胞群を支える栄養血管を塞栓することで,嚢胞ひいては腎臓を縮小させる腎動脈塞栓術が可能になりました。これによりQOLの著明な改善のみならず,本症の生命予後の改善まで報告されました。
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