(秋田県 F)
本症例では高IgG血症に加え血清IgG4値が441mg/dLと上昇しており,IgG4関連疾患が疑われます。IgG4関連疾患とは,血清IgG4高値と罹患臓器におけるリンパ球とIgG4陽性形質細胞の著しい浸潤,線維化を特徴とする原因不明の疾患です。血液検査では血清γ-グロブリンの上昇,血清IgG高値,高IgG4血症(IgG4>135mg/dL)を認めます。わが国では厚生労働省研究班よりIgG4関連疾患の診断基準が提唱されています1)。
したがって,本症例における高γ-グロブリン血症の原因としてはIgG4関連疾患が疑われます。
本症例ではネフローゼレベル(尿蛋白/尿クレアチニン比≧3.5g/gCr)の高度蛋白尿と低アルブミン血症(血清アルブミン値≦3.0g/dL)を認め,ネフローゼ症候群を呈しています2)。
IgG4関連疾患の腎病変はIgG4関連腎臓病と命名されており,その病理所見は間質性腎炎が主体ですが,約4割の症例で膜性腎症など糸球体病変を伴うことが報告されています3)。したがって,本例の高度蛋白尿の原因は,膜性腎症などの糸球体病変が疑われます。
さらに本症例では,尿中β2-マイクログロブリンの高値を認めており,尿細管間質性腎炎も腎結石に加え,血尿の原因として鑑別に挙げられます。
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