わが国における原発性骨粗鬆症患者は1280万人余りと推計されており,今や国民病と言っても過言ではない。骨粗鬆症による脆弱性骨折には,生命予後やADLに大きな影響を与えるものがあるため,積極的にスクリーニングを行い,治療対象者には,投薬を含めた早期からの積極的な介入を行っていくことがきわめて重要である。そのためには,骨粗鬆症に対する日頃からの啓蒙活動が重要であることは言うまでもないが,同時に骨粗鬆症一次検診あるいはスクリーニングを受けやすくするといった,受診環境を整備することも大切である。
精密検査導入の足掛かりとなる,骨粗鬆症一次検診あるいはスクリーニングに際しては,特殊な設備を必要としないこと,放射線を被ばくしないこと,費用対効果に優れること,などが望ましいとされ,近年ではFRAX®を用いた方法が提唱されている1)。FRAX®は,WHOが開発した10年間の脆弱性骨折による絶対骨折リスクを評価するツールであり,X線設備などを所有していないプライマリケア医などでも,専用計算機やwebなどで,無料で簡単に利用することができる。
この方法を用いれば,簡便に要精検者のスクリーニングを行うことが可能となり,DXAなどの骨量測定の精密機器を有する骨粗鬆症を専門とする施設へ,より多くの対象者をすくい上げて紹介することが可能となる。
【文献】
1) 山本憲男:Osteoporo Jpn. 2013;21(4):753-9.
【解説】
山本憲男*1,土屋弘行*2 *1金沢大学先進運動器医療創成講座特任教授 *2金沢大学整形外科教授