慢性好酸球性白血病(CEL)とは,好酸球前駆細胞のクローナルな増殖により末梢血・骨髄ならびに組織において持続性に好酸球の増加をきたす,骨髄芽球が20%未満の骨髄増殖性腫瘍である
クローン性の証明が難しいケースは,確定診断に至るまで「意義不明の好酸球増多症(HEus)」または「特発性好酸球増多症候群(idiopathic HES)」として扱われる
PDGF受容体やFGF受容体変異,さらにJAK2遺伝子転座を伴う原発性の好酸球増多症(HE)はCELのみならずそのほかの骨髄系ならびにリンパ系腫瘍としても発症する
好酸球浸潤を認める臓器障害により予後不良となるが分子標的治療薬が有効な症例もある
慢性白血病を見逃さないため,好酸球の増加をきたす様々な疾患・病態を念頭に置いて診断を進めていくことが重要であることは言うまでもない。末梢血好酸球数の増加(1500/μL以上)が1カ月以上持続している状態を好酸球増多症(hypereosinophilia:HE)と呼び,その原因により遺伝性,造血幹細胞・骨髄あるいは好酸球性腫瘍の原発性(腫瘍性),サイトカインに誘導される二次性に分類できる(表1)1)。
しかし,遺伝子変異が臨床検査で検出される場合を除き,好酸球のクローン性増殖を証明することは容易でなく,腫瘍性の診断に難渋することが多い。また反応性増多においても,好酸球増殖性サイトカインの増加がすべての患者で検出されるとは限らず,まだ知られていない機序によりHEが発症または誘導されている可能性もある。すなわち,実地診療においては,上記3つのカテゴリーに入れることができない,原因特定に至らない「意義不明のHE(hypereosinophilia of undetermined significance:HEUS)」に遭遇することも多い。この「特発性好酸球増多症」とも呼ばれる徴候の中に,臓器障害を伴わない慢性好酸球性白血病(chronic eosinophilic leukemia:CEL)が潜んでいる可能性がある2)。
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