改正臓器移植法が2010年に施行され,15歳未満の小児からの臓器提供が可能となった。小児の脳死ドナーからの臓器提供は依然少ないが,重症心不全の治療オプションとして,心臓移植や補助人工心臓による治療が最近普及してきている。
心臓移植は,可能な限り内科的・外科的治療をしても改善しない重症心不全に適応がある。強心薬,β遮断薬,血管拡張薬などを用いた内科治療,心臓同期療法が無効の症例に対して補助人工心臓を導入し,心臓移植への橋渡しを行う。成人では,植込み型の補助人工心臓が主流であるが,乳幼児では,心臓,身体が器械に対して小さく,補助人工心臓を植込むためのスペースがないこと,成長が著しいこと,などから,現時点で使用できる補助人工心臓は体外式となっている。
16年8月に,ベルリンハート社製のEXCOR®というポンプが保険適用され,国内でも使用できるようになった。EXCOR®は,新生児から成人までサポート可能な空気拍動式の補助人工心臓である。現在,小児心臓移植実施施設である東京女子医科大学,東京大学,大阪大学,国立循環器病研究センターの4施設に加え,数施設で使用が可能となっている。学童以上になれば,機種によっては植込みも可能である。当院でもJarvik2000®(センチュリーメディカル社)という機種を11歳男児に植込み,1年後に心機能が改善して離脱した経験もある。
植込み型機種の小型化も進んでおり,今後さらなる発展が期待される。
【解説】
清水美妃子 東京女子医科大学循環器小児科