(埼玉県Y)
ループ利尿薬の静脈内投与の投与方法(ボーラスか,持続静注か)については,急性非代償性心不全患者において最もよく検討されていますので,それを中心に回答いたします。
ループ利尿薬の急性非代償性心不全患者における使用法につき,昔から伝えられていたコツとして,「ループ利尿薬はボーラスで使用するよりも持続静注で使用したほうがよい」というものがありました。ボーラスの利尿薬は速やかに強力な利尿効果を発揮しますが,レニン分泌を強く促すこともあり,短時間で利尿効果が止まってしまいます。そこで持続静注で投与すれば,利尿効果が持続し良好な利尿が得られると考えられたのでしょう。また,迅速な利尿効果による急激な体液量の変動や血液の濃縮が好ましくないのでは,とも考えられていました。実際,小規模な臨床研究ではこの考えを支持するものがありましたが,一方で差がないとする報告もありました1)。
そこで行われたのがDOSE(Diuretic Optimization Strategies Evaluation)試験です2)。この試験は急性非代償性心不全患者をフロセミドの低用量群(普段内服しているループ利尿薬と同じ1日用量)と高用量群(普段の2.5倍量)にランダム化し,さらに使用法をボーラス投与群(1日2回にわけて静注)と持続静注群にランダム化するという2×2のデザインで行われました。一次エンドポイントは,ランダム化後72時間までの自覚症状改善と72時間の時点でのクレアチニンの変化でした。その結果,ボーラス投与群と持続静注群にも,低用量群と高用量群にも差はありませんでした。
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