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高血圧症患者は加圧トレーニングを行ってよいか?【血圧コントロール良好例では施行できる】

No.4881 (2017年11月11日発行) P.63

中島敏明 (獨協医科大学病院ハートセンター教授)

登録日: 2017-11-13

最終更新日: 2017-11-07

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  • 高血圧症の人が加圧トレーニングをしてもよいのでしょうか。インターネットでは高血圧症の人でも,重量挙げなど急激に負荷をかける運動より,加圧トレーニングのほうが毛細血管が拡張するので適しているという情報もあれば,主治医に相談すべきという情報もあります。また,降圧薬投与中で血圧コントロールが良好な場合は大丈夫なのでしょうか。併せてご教示をお願いします。

    (京都府 T)


    【回答】

    筋力増強,筋肉をつけるには,レジスタンストレーニング(筋力トレーニング)が必要ですが,一般的なレジスタンストレーニングでは最大挙上重量(1回で挙上できる最大の重さのことで,1RMと表します)の65~70%以上の高負荷を与えなければ,明らかな筋肥大は起こらないことが知られています。したがって,重量挙げなどの高負荷の筋力トレーニングは,筋力増強ならびに筋肥大において非常に有用です。しかし,こうした高強度のトレーニングでは,懸念されるようにトレーニング中に顕著な血圧上昇を促すため,高血圧症などの疾患を有する人には十分な注意が必要なわけです。

    加圧トレーニングとは,四肢の基部を専用の弾性ベルトで加圧し,適度に血流が制限された状態で行うトレーニング法1)で,低負荷にもかかわらず,多くの筋線維を刺激し,筋肥大と筋力増強が得られる筋力トレーニング法です。したがって,加圧トレーニングでは,日常活動レベルの低負荷強度でも十分な効果を引き出せるため,低強度の負荷を用いるのが原則であり,高強度筋力トレーニングに比べて,トレーニング中の血圧上昇は低く抑えられます2)

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